私がお話するのは、いままでの学問的な考え方だけでは考えきれない体の問題なのであります。私たちの胸の中に肺臓と心臓があるということはどなたもご存じですが、それを動かしているある働きがあることには気がつかないでいる。例えば、恋愛をすれば食事がおいしくなるし、好きな人に出会えば心臓が高鳴ってくるが、借金をしていると食事もまずいし、顔色も悪くなってくる。このように恋愛とか借金とかいうものによって生じてくる …
波動を思う前に
ある時、僧が趙州に尋ねた、「私はこの道場に入ったばかりの新米でございます。ひとつ尊いお示しを頂きたいと思います」。すると趙州が言われた、「朝飯はすんだかい」。僧が言った、「はい、頂きました」。すると趙州が言われた、「それでは茶碗を洗っておきなさい」。僧はいっぺんに悟ってしまった。(西村恵信訳注『無門関』岩波文庫 p48 無門関第7則 趙州洗鉢より) ※趙州・・・趙州従諗(じょうしゅう じゅうしん、 …
発病の原理
ガンになる遺伝子も、高血圧になる遺伝子も、人間は誰でも持っているのです。ガンの遺伝子を持っているというと非常に悪いイメージを抱くと思いますが、これらの遺伝子は何も病気を引き起こすことを目的としているわけではありません。身体にとって必要な遺伝子であり、細胞の中でおとなしく調和していれば、何も問題はありません。 ただ、それがなんらかの原因で一定水準を越えて増殖してしまうと、病気として現れてくるのです。 …
理解と自覚
「整体」になるのにどれくらいかかるだろうか。 うちに通われている方を見ていると、一応の段階までだいたい2、3年くらいが目安かなと思う。 「風邪を引いて熱が出ると、骨格筋がゆるんで、身体が整う」という風邪の効用を例にとっても、理解はすぐにできる。 それでも、実際に「うん、これは間違いないね」と自覚に至るにはやっぱり年月がいるのだ。 理解に力はないが、自覚したものは力になる。 しかし自覚するためには理 …
歩き方
立つ、歩く、という動作は当たり前すぎてこれを習うという習慣はない。 それだけに歩き方はどの人も個性的だ。 「これが正しい」というものを一つ選び出すことも出来ないし、「よくない歩き方」というのも限定しずらい。 昔、ある剣道の先生が街中で道行く人たちの足を見ていた。 すると「生きた足の使い方」をしている人は、一人もいなかったそうです。 みんな死に足になっている。 それがどうゆうものか、想像するしかない …
魂の点火者
「人生二度なし」を説いた教育者 森信三氏は「魂の点火者」と呼ばれていた。 魂に火がつけば、あとは心も体も勝手に燃えていく。 指導者というのは皆、心を動かすことが仕事の根幹だ。 本来、医も仁術である。 心の温度を使うものなのだ。 当然だが、あちらに火を灯すには、こちらが燃えていなければいけない。 もとより人間は赤々と燃えているのだから。 いのちを高められるは、いのち以外にない。 愉気とはそういうもの …
自然モデル
治すためにいろいろな技術を使わなければいけないというのは治療の前段階だ。 真の治療は造作もないことの中にある。つまり一切の作り事を止めること。自然・宇宙の時、摂理に任せ切る。 実際はその「任せ切る」ということも造作のうちだ。だからそういう人間的な「はからい」を全部捨ててしまう。 そう考えると、「何もしないということに全力を懸ける」と言った、心理療法家の故河合隼雄氏の言葉は秀逸だ。 手を出さない、手 …
土いじり
今日は朝から草むしりと、先日剪定した大枝・小枝を刻んでゴミやさんにだした。 屋根の上でのこぎりを振るっていた時はおととし参加した山岳修行のどきどきを思い出したけど、今日は地上に降りてパチパチ枝を切っては落ち葉と一緒にゴミ袋に詰めるという静かな作業だ。 屋根に上がる必要はないけど、頭の疲れやすい人やノイローゼ気味の人は少し疲れるくらいまで身体を動かせば解消しやすい。 「健康のために何か軽い運動をしま …
感性
この数ヶ月ほど、知らないうちに客観性に偏っていた。 「自分の目ん玉で観る」という感覚が薄まっていたのだが、異変に気付いて主観を意識するようにしたらまた少し「見える」ようになってきた。 感性、感情、身体感覚、etc・・・、「感じる」ということは生きることの出発点である。 そもそも「感じる」という原始感覚には間違いがない。食べ物の「おいしい、まずい」というようなことから、「どう動けばいいのか」、ひいて …
休む
今日は太郎丸は保育園をお休みした。疲れたみたいだったのだ。「休む」といっても、子供だから(いや大人でも)必ず「何か」はやっているわけなんだけど。何もしていない時間なんて、探したってないのだから。 それで今日は休むとか休養ってなんだろうということを考えていた。 あるいは「休んでいない」ってどういうことなんだろうか。 「じっとして動かないこと」、とかそう思われがちだが、そんなことではないな。 ただ寝て …