臨床の知とは何か

何年か前に買ったっきり積読(つんどく)してあった中村雄二郎著『臨床の知とは何か』(岩波新書)をようやく読んだ。 新書というライトなボリューム感から油断したけど、かなり歯ごたえのある本気度の高い学術書である。 内容は近代科学(科学の知)と臨床の知の対比が主要テーマになっている。 野口整体を実践する立場からすると、西洋医療と整体法の対比構造がほぼそのまま当てはまるので本著の内容は多くの示唆に富んでいた …

内的要因

近所の緑道に生えていたきのこ。すぐ近くに似たような木があるけれども、これには全く根付いていない。同種のきのこが生えているのは左側の一本だけである。 おそらく菌類だから常に無数の胞子を飛ばしているはずである。胞子が付いたところから順次根を張ったらあたり一面に群生するだろうに、考える頭のないきのこでも繁殖する木をちゃんと選んでいるのだ。 これは他の細菌やウィルスにも同じことがいえる。 ウィルスが増えて …

独立と責任

少し前のニュースになるけれども、小学五年生の男の子が体育の時間にマスクをつけて持久走をした直後に亡くなったというではないか。 責任追及の苦手な日本のことである。もしかしたら本件の責任の所在も宙に浮いたまま風化していくかもしれない。痛ましい事件に直面しながら「再発防止に努めたい」では済まないと思うのだが。 実際事件後にどういった話し合いが行われているのかは知らないけれども、どんな裁定が下ろうともご両 …

今のいのち

営業時間短縮の影響で近所の居酒屋さんでも弁当を売るようになった。 ごはんメインのお弁当の他に自家製のカツサンドなんかも置いてある。いま飲食はどこも大変だろうけど、こちらもアイデア出しの苦労が伺える。 酷暑の迫る中弁当を買いながら「マスクが苦しそうですね」と言うと、「キツいです(笑)、テレビでやってたんですけど、ずっとマスクしてると免疫力落ちるらしいですね」との返答がかえってきた。 おそらくそうだろ …

舞岡公園

昨日はかねてより行きたかった舞岡公園へ。 公園というよりは山です(注意)という下記のサイトを参考に、妻と息子と三人で、ややしっかりめに装備を整えて出発しました。 舞岡公園:本気の登山道がブルーライン駅から徒歩15分… 戸塚駅からバスに乗って到着、歩きはじめると先ずは有名(?)な水車小屋が姿を現しました。こちらはもう使われてはいません。「中に入って回したいよ~」と息子。 さらに進んでいくと、ときどき …

背く親

昨日の夕方、子どもといっしょに公園に行くと、ちょうどそこで4~7才くらいの姉妹が交代で縄跳びをして遊んでいた。はじめは夢中でやっていたけれど、そのうちにお姉ちゃんが「あや跳び」をした。するとすかさずお母さんが「すごいすごい!それはアヤトビって言うんだよ」と教えてあげた。 褒められたお姉ちゃんは今度は「アヤトビ」を成功させるためにやり始めた。ただ夢中でやっていた縄跳びに成功と失敗が生じ、そこに評価が …

自然(じねん)モデル

心理学者の河合隼雄さんはカウンセラーの態度の理想の一つとして、「何もしないということに全力を挙げる」という言葉を残している。 カウンセリングの現場では、カウンセラーが教育的なアドバイスや助言を与えた場合よりも、クライエントの悩みを深く共有しながらも、「何もしないで自然の変化を待ったとき」の方がより豊かな結果にむすび付くことを度々経験されたためである。 このような心理療法の技法、とも言い難いような技 …

腰肚文化

東洋史上類をみない早さで西洋文明を流入し、従来の文化に同化・融合せしめた国、日本。明治という元号はその大躍進期の象徴ともいえる。 この世界史上でもたぐい稀といわれる維新と文明開化の原動力は、独自の身体文化に秘められていたと考える向きがある。 その腰骨を立て肚の実在感覚を養う独特のスタイルは、東洋文明圏の中でも固有の趣(おもむき)がある。 斎藤孝氏は著書『身体感覚を取り戻す』の中で「腰肚文化」という …

粘菌

昨年の梅雨のこと、軒先にあるライラックの切り株に見なれぬ光景を発見。粘菌である。 粘菌は寒暑風湿に応じて、文字通り千変万化する原始的な生命体である。植物とも動物とも分類しきれず、キノコのような形から胞子となって舞い飛んだかと思えば、アメーバのようにもなって微生物を捕食することもある。 おそらく朽ちかけたライラックの切り株を見つけて(一体どうやって⁉)飛来してきたものと思われる。 うま …

ノアの箱舟

地球のすべての生き物には「適応」という力が具わっている。これによって必要な力は伸び、不要な力は失われていく。髭が剃るたびに濃くなり、歩けば脚が太くなるのもこの適応の産物である。 病菌を殺せ罹患者を近づけるなと、外から来るストレスを忌避し逃げ惑う間にも、この適応作用は刻々と働いていることを忘れてはならない。病気を遠ざければ、これを活かし共生する力もどんどん委縮退行していく。 一方人間によって過酷な環 …