大学生のころ空手の指導員をやっていた。 スポーツライクな競技空手の道場だったが、以外にも中高年層の方々が健康保持の目的でよく入門してきたものである。 ある初老の男性が入門されて3ヶ月ほど経ったときに、病院でいつもの検査をしたら糖尿病の症状が消えていたという。さらに肝機能検査の数値も改善されていたと笑顔で報告をしてくださったのを覚えている。 お医者さんも「空手ってすごいですね」とおどろかれたそうだが …
セルフイメージ
数年前から「セルフイメージ」という言葉をよく耳にするようになった。「プラス思考」と同様にわかりやすいし、親しみやすいのかもしれない。 「セルフイメージさえ変われば健康も富も自在である」といったふれ込みのもと、セミナーや個人セッションをビジネスにしているケースもよく見かける。 しかし残念ながら少しばかり小銭をはたいたくらいで人間が変わるなど、そんな甘い話はないのである。 高額のセミナーに参加して何か …
呼吸
少し前に禅と瞑想関連の本が多いという記事を書いたが、調べてみると呼吸法の本も昔からたくさん出ている。 長い息で長生きというシャレもなかなか古いが、ある意味真理なのだろう。 しかし世界中に現存する呼吸法を一個一個実践していったら、人生がいくつあっても足らない。 個人的には活元運動の邪気の吐出法と、合気道の故・藤平光一さんが考案された気の呼吸法の2つが最もしっくりいった。 このいづれかを一ヵ月間、まじ …
息吹き
この2週間ばかり昔習った空手の呼吸を毎日やっている。 「息吹き」という強圧の呼吸法なのでパッと見整体らしからぬ、という気もするけれど実は野口整体にも気合法という呼吸鍛錬法が伝承されいる。 これらの強式呼吸のたぐいは一様にして下腹、いわゆる丹田を中心に横隔膜による強力な圧がかかる。そのため肝臓や脾臓に滞留した血液が一呼吸ごとに全身を駆け巡ることになるのだ。 これにより血中酸素が増して、脳の活性化に伴 …
排泄反応
ときどき変に仕事に馴れてしまって、初心の人に「反応」の説明をしなくなってしまう。そういう時に限ってひょっくり強い好転反応を示す方に出くわすから要注意である。 整体操法、活元運動をはじめて行なうとだいたい8割くらいの人が1ヶ月目から3ヶ月の間に反応を起こす。 熱が出たり下痢したりするくらいが定番だが、胆石のような体の中に異物があると場合によってはそれらを急激に体外に出そうとするのである。 『整体入門 …
着眼を正す
人間の身体は放っておけば必ず治るものである。 治らないのは「何か」が邪魔をしているからなので、その邪魔している「何か」を見つけることが治療の本質なのだ。 その「何か」とは主に思考態度や潜在観念のことで、身体に触れることでこれらを特定し、取り除くことができればあとは漸次癒えていく。 メカニズムは非常に簡単であるが、このためだけに一定の歳月と確たる意志の持続が求められる。 無論病院にかかる場合は上記の …
髪
20年ぶりだと思うがほんのちょっぴりだけ、髪を伸ばしている。 いや19歳のときは後ろで束ねてお侍さん気分だったので、当時よりはずっと短いけれども。 今回気づいたことは髪が伸びると深く悩めるようになる。 小説家や作曲家、宗教家に長髪が多いのはそのためかと思った。 逆に職務上悩むことがゆるされない軍人やお坊さんはみんな短髪か坊主である。 個人的には髷(まげ)を結ったときの意識の統一具合を味わってみたい …
身体感覚を取り戻す
このブログではおなじみの一冊。 2000年の発刊だからそろそろ文庫化しても良さそうなのだが、その気配もなく淡々と増版され続けている。 まぎれもなく斎藤孝さんの渾身の一冊と思う。何度読んでもしばらく間をあけてからページをめくると、守備範囲の広さとそれに相反する深掘りにいつも新鮮な風を感じる。 今回、目にとまったのは次の段落である。 腰肚文化を二十一世紀に再生していくためには、畳の上での坐のよさを再評 …
可視化される無意識
お会いする方から以前のブログは面白いですね、と言っていただくことがよくある。「以前の」ブログはって、複雑な気持ちになるけれども‥。 2009年から断続的に続いてきたこのブログも、大きく分けるとココログ期、アメブロ期、ワードプレス期(現在)の3つに大別される。 その時その時で反応してお越しになるお客さんが違ったので、それぞれ思い出すと感慨深い。 思えばココログ期(2009~2011)というのは純粋で …
腹圧の大事
昨日の記事に少し関連した腹圧の話。 「腹圧」とは呼吸に相応して下腹部に自覚される内圧のことである。 自分にとってはなじみ深い言葉だが、その認知度は存外に低い。 ヘタをすれば「死語」の領域だと思うが、認知度の低下した最大の理由は何より日常生活でこの腹圧の体感がなされなくなったからだろう。 先ずもって、かつての和式文化であるフンドシ、帯、床座(正坐)などの習慣にその身を委ねれば腹圧の自覚は容易である。 …