安産しやすい妊婦さんの服装

妊娠期に着る服の注意点を聞かれたので、自分なりに気づいた注意点を少し書いておきます。

まずゴムのような圧迫感のある服は極力排除しましょう。きつくてもゆるくても、いずれも外からの圧はない方がよいです。よく伸縮性の腹巻のようなものを付けている方がいますが、外から支えつづけると全般に身体がたるみやすくなるのでおすすめしません。

腰痛の方が骨盤ベルトを勧められることもあるようですが、これもお尻がたるんだり、人によっては恥骨が痛んだりします。

それから足元ですね。妊娠期はいつも以上に、「冷える」ということの注意が必要です。それも気を付けなければならないのは「足首」です。夏場に素足にサンダルで電車に乗ったりすると、思った以上に冷房で足を冷やします。足を冷やさない工夫をしましょう。

また、かかとの高い靴やサンダルを履きますと、膝、腰に負担がかかります。また足を挫いたりしますと、骨盤に影響が行きやすいので、妊娠期は靴底の平らなものを努めて履くと良いですね。

ですから、まとめると・・

・身体を締めたり圧迫するもはできるだけ着ない

・冷えに注意する(特に膝から下、足首やくるぶし)

・靴は平ぺったいものを履く

このへんを守っていただければ、まずまずじゃないでしょうか。

あんまりおっかなびっくりにならなくても大丈夫ですけどね。妊娠中は細かいことを「気にしすぎない」でぽんわり生活することも大切です。ただ「着衣の問題が気になる」という方は、一応の参考にしてみてくださいね。

逆子体操では直らない逆子

昨年の今頃、「逆子体操を毎日やっている」という方をみていた。「28週から毎日、いくらやっても直らなくて・・」と悩んでいらしたのでその場で実演していただくと、大変キツそうだった。

「逆子体操はあなたの身体には合いませんから」、といって初回の時に止めていただいたのをよく覚えている。それよりも不安で腰が縮こまっているようだったので、カウンセリングでストレスの原因を伺っているうちにだいぶ腰の形が正常に戻ったのだ。2回目にお見えになったときにはもう表情が明るくなっていたので、言わずもがなの結果であった。逆子体操を止めた直後の7日の間に戻ったのだ。

誤解のないように言っておくと、「逆子体操」が悪いという話ではない。どんな刺激であっても、「その時のその身体に、合う、合わない」という診断が正確につかななければ、闇鉄砲と一緒で当るかもしれないし当らないかもしれない。先のケースではむしろ弊害であったのだ。整体は命に触れる御業である。厳しいようだがこういう「やってみなければわからない」ようなものを技術と見做す訳にはいかない。

何事も原因が解らなければ対処のしようがないのだ。だから整体はいつ如何なる時も「原因を観る」ということに集中する。自身で探求するなら、一つの目安はやはり「快・不快」の感覚だろう。身体に合うものは快く、合わないものは不快に感じる。「他はこれ吾にあらず」という言葉の示す通り、この快・不快は自分にしか判らない。野口整体が身体感覚の保持、向上を説くのはそのためなのだ。

今回は体操だったからこの程度だが、運動にしろ、食事にしろ、薬にしろ、自身に合う合わないかを判らないで生きているということは危なっかしい。産まれた当初はみんな100%の「感覚」が働いているのに、成長するにつれて大なり小なりそれがくもってくる。原初的な身体感覚が「良い意味でむきだしになる」ということが、整体指導の目的の一つだ。野口整体を「野生の哲学」と説いた例もあるが、言い得て妙である。

実のところ、逆子になってからで訓練するのではちょっと遅いのだ。だが「気づかないでいる」よりはずっといい。逆子が直る、直らないという事よりも、それを機会に自分自身の感覚に目を向ける人になることが観ていて一番嬉しい。自分を守るのは自身の身体感覚である。しかもこれから備えるのではなく、今あるものを最大限に使うのだからなお良いのだ。自分自身が、自分自身を、自分自身で救うのだから、これが一番間違いがないではないか。人間がいるかぎりこういう学びには用があるし、誰かが説き続ける必要がある。養生とは自然を知り、その自然を人体上に現すことなのだ。

逆子体操

 

離乳食に偏食はない:子供の「食べない」には理由がある

今春から太郎丸は保育園だ。事前に下見に何回か行ってるけど、やっぱり泣かない。人見知りしないのだ。幼児が知らない人をみて泣くのは、かつて「初めて会った人」でこわい思いをしたからである。

具体的には、まず産湯とか。これが熱すぎると、やっぱりこわいと感じる。だけど生まれたばかりの子は「熱い!」とは思わないで、「!っ・・」と思う。次に「これはとんでもない世界に来た」とそう思う。そうするとまず初めて触れるものに対する「警戒」が生まれるのだ。

それから「病気の予防」だといっていきなり注射を打つ。これも当人には理由がわからないから、「ビョウインはイタイ!」という連想が固着する。そうやって「事実」に触れる前の観念の方が身体につよく影響するようになってくる。「と、思い込んだ」ことは身体上に実現するのである。

それはそうと保育園のアンケートに「特に好きな食べ物」と「嫌いな食べ物」の欄があって、固まってしまった。好きなものは「その時食べる物」と書きたいところだが、それじゃあ困るのだろうし‥。でも実際はそうなのだ。

ところが大人は過去に体験したことを「そうだと決め込んで」与えるから、「はい、○○ちゃんの好きな、好きな○○よ」といって、例えばトマトを出したりする。ところが食べない。

それはこの前食べた時はおいしかったというだけの話で、今日はまた別問題である。別に「キライ」ではないのだけど、「キライになったのか」と考えたりする。こうやってるうちに大人の方がいろいろと複雑に考えるようになる。

そもそも、そうやっている大人の方は自由に食べられるはずなのに、案外自分で自分を縛っていたりする。「わたしはコレが好き」と思い込んでいると、いま腹が減ってなくても出てくるとつい食べてしまう。タイミングも量もお構いなしにそうやってしまう。そうやって「うまいか、まずいか」もわからない大人が、純粋な感覚をたよりに生きている赤ちゃんに食べさせるのだから無理がある。

ともかく子供に「偏食」はない。

いつだってからだの要求に寸分くるわず食べている。

砂糖でも塩でも、そのときからだに用があるもの(合うもの)はうまいし、からだに合わなければうまくない。身体が疲れれば甘いものが食べたくなるし、頭が疲れれば辛いものが食べたくなる。

そういうふうに感覚(この場合は味覚)は偏らない。偏るのは身体に良いとか悪いとか過去に覚え込んだ「観念」の方で、その偏った観念と並べて比較するから、「今の味覚」という正確な指標の方が歪んでいるように錯覚してしまう。

また食べないとしたら、その食べない原因には味とか量だけじゃなく、あげる速度とか、スプーンの色・形・温度とか、またその口に持っていく角度とか、あるいは天候、お母さんのキゲンの良し悪し、声のトーン、昨日の運動量などなど、いろんなものが複雑に作用して、赤ちゃんの胃袋というのは動くのである。

だから「なぜ食べないのか」を感じとる力がないうちは、前の「食べた、食べなかった」という記憶の方に踊らされるより他はない。そういうわけで子供の偏食に悩む前に、大人の感受性を見直す方が正解なのである。

身体感覚を鈍らせていては育児はできない。いや育児にかぎった話ではないが、感覚こそが真実なのである。その働きを保つために体を整えるべきなのだ。ここに至って食育以前の体育の必要性を改めて世に問いたい次第である。

妊娠中の恥骨痛の原因

先月はじめて来られた妊婦さんが「恥骨がすごく痛い」という。「すごく痛い」は稀かもしれないが、妊娠期に恥骨に違和感を感じる方はだいたい1~2割位いる。妊娠期はリラキシンというホルモンの影響で恥骨(骨盤)だけでなく全身の関節、靭帯が柔らかくなっているので普段ではあまり見ないような故障も起こしやすいのだ。

野口整体ではこの妊娠期の「弾力と波」を上手く使って、妊娠・出産によりいろいろな持病を治したり、さらに出産前よりも丈夫にすべしと考える。小さい刺激でも大きく身体が変化するのが利点で、いつもよりもずっと負担を少なくやれるのだ。一般的には出産前後になると肩がこったり、腰痛になったり、問題事が増えるのだが、それはこの骨格の柔らかい時期にいろいろと間違った身体の使い方をしているからだ。

ただ「恥骨が痛い」という方に関しては、身体の様子を見る前に「着衣による骨盤の締め付け具合」を確認する。妊娠初期にはまだ細いジーンズをはいている人もいるし、お腹が一定大きくなってもきつい下着をつけている人がざらだ。これらのものはみんな骨盤の両側から「微弱な圧」をかけていることになる。ごくごく小さい力だが身体は常にその力に抵抗を強いられるので、特に妊娠期はこの小さな刺激が無視できない。

見ていると何故かはわからないが、頭が合理的によく働く人ほどきピチッとした服を好む。妊娠が解ったら出来るだけ早い段階で、たっぷりした感触のやさしいものを身に付けることを勧める。整体を受ける際に着替えをしていただくが、着替えただけで恥骨痛が消えている人がいる。こういうのが盲点だ。

さて、件の方は骨盤ベルトをしていた。お聞きすると1ヶ月ほど前からかなりきつく巻いていたので、恥骨を痛めたらしい。因みに骨盤ベルトで外から仙腸関節を補助したことで、かえって身体が怠けてしまった例を見たことがある。産後の肥立ちで苦労されていた。身体の適応能力をなめてはいけない。身体は守る暇があったら使うことだ。散歩をしたり、相撲の腰割りをやって、体力をつけて「その時」に備えて欲しい。

逆子は何週までなら直るのか

一般的に逆子はだいたい28週~30週以降で胎児の頭が上になっている状態を指すようです。それ以前のものはまだ胎児が動いているうちの一過程と見ます。まだこの位の時期ですと病院・助産院でも「まだ大丈夫、戻りますから」と言われることが多いようです。

確かに逆子のまま出産を迎える割合は3~5%位とされていますから、「ほとんどの妊婦さんが直る」と思っていても間違いはないでしょう。出産の割合が最も多い週が40週ですから、仮に30週で逆子だとしてもまだ10週間(2ヶ月半)ある訳ですね。

せい氣院に逆子で相談に来られる方の多くはだいたい33週、34週以降です(逆子体験談)。何故なら多くの病院や助産院で「35週目の検診で逆子が直らなかったら帝王切開の日程を決めましょうね」と言われるからです。それであわてて来院されるのですが、30週の時点から比べれば当然逆子が直る率は少しだけ減ります。もちろん身体をよくみて、原因さえ解決できればまだ充分に対処できます。

ですが、逆子の対応は早いに越したことはないのです。

本音を言えば逆子になる前から身体を整えておいた方が良いですし、さらに言うと受胎がわかったならすぐに「楽に産める身体」を作っていく方がずっと良いですよね。整体でお腹の中から丁寧に観てきた赤ちゃんはみんな丈夫ですし、生まれた後の美容的な観点からもはっきりそう言えます。特に30週からの1ヶ月は本当に大切。

なのに、この大切な期間にまったく何もしないのは「もったいない!」と、いつも思います。

逆子には、逆子になるようなお母さんの「身体」があり、赤ちゃんの「気持ち」があり、また逆子になるような「生活」があります。そしてこれらの「原因」には共通点があります。

それは、みんな病院の検査には写らないもの、ということです。

人が人を観て、触れて、よくお話を聞くことではじめて見えてくるものばかりです。ただお医者さんが「大丈夫ですよ」といってもそこには確率以外の根拠はありません。いつも言いますが何ごとも「原因がわからなければ対処のしようがない」のです。野口整体が「観察」という技術を重要視するのはそのためです。

ですから「逆子は何週まで直るか」と考えるのはちょっと変ですね。ただ待っているだけでは「直るかもしれないし、直らないかもしれない」。それはただの偶発性ということ。それよりも「なぜそうなったのか」をよく考えて行動することで直る必然性がぐっ!と増すのです。もし原因がわかれば自分でも対処できることが沢山ありますから。ですがもし逆子のケアの仕方がまったくわからないという方はこちらも参考にしてみてください。(自分でできる逆子ケア

逆子は「あとどれだけ日数があるか」心配するのではなく、「どのように行動するか」の方がずっと大切だということです。ここの所をよく間違えやすいので、いま逆子で不安になっているお母さんは少し気を付けて原因を考えてみてください。

骨盤が狭いと難産になるか

よく難産の原因として「骨盤が狭かった」から、と言われることがあります。

あるいは「骨盤が歪んでいたから」とか「あなたは生まれつき骨盤が小さいから」とか、バリエーションはいろいろありますね。確かに分娩時の骨盤の状態は重要です。これ以上ないくらい。

ですがそれが「難産の原因」とはなりえません。

原因は別にあります。

整体が考える「分娩で一番大切なこと」は骨盤の幅ではなくて「リズム」です。少し表現を変えると身体の波を知って、「その時」に産めば自然と骨盤は開きます。それは「リラキシン」という妊娠期に関節や靭帯を緩める女性ホルモンの影響によって、骨盤の可動性が大変に大きくなっているからです。

ですがそのような妊婦さんでも、身体の波を知り、波を待って、その波に乗る、ということができないといくら気張っても楽に生まれなくなります。これが難産です。

本来は人間の生理的な働きには、食べ物を飲み込むことでも、大小便をすることでも、鼻をすすることでも「難しいこと」なんか一つもないのです。ただ人間の知識が先行して事実を誤認すると「難しくなる」ことはいくらでもあります。

例えば大便をすることでも、「その時」にすれば簡単に気持ちよく出ます。ですけども、例えば飛行機に乗るからといって、無理やり早く出そうとしてもそれは難しいし、快感もありませんね(難産です)。大便ならそれほど周りも騒ぎませんが、出産の場合は本人意外にいろいろな方が介在してきます。第一、出産には「予定日」というのがありますけど、大便の「予定時刻」は聞いたことがありません。そんなものを他人に設定されたら気になって、出ずらくなるでしょう、きっと。

こういうこと一つ取っても、普通の医療のお世話になっているだけでは分娩における「身体の波」を感じることが難しいことがわかります。今まで来院された妊婦さんでも、出産する時期ではないのに周りが急がせて、大変な思いをされたケースをいっぱい観てきました。

整体ではこうならないために、早い時期から妊婦の身体感覚を高めていくことを説くわけです。また大便を例に出しますが、体調が良い時は何も考えないでその時にさっとでますね。身体が整っているというのはそれだけ生理機能をスムースにするのです。

整っていれば波は容易にわかりますが、調子が乱れているとわかりません。ですから妊娠期に整体をやるのは身体感覚を高度に磨くためであって、骨盤矯正のためではありません。矯正したって、身体のリズムがわからなければ結局は役に立たないのです。

こういうことから、安産のために「骨盤が狭いか広いか」を論じることに意味がないことがわかりますね。骨盤が狭い、小さいを気にされている方はそこではなく、「身体の感覚」の方に目を向けてみてください。こちらの方がずっと重要なのです。

安産のための散歩

時を同じくして来院された妊婦さん方が、春の訪れと同時に出産ラッシュとなった。通っている方から「無事に生まれました」という報告を聞くと、・・ちょっと他では味わえない嬉れしさがあります。

安産するためにはどういう事が必要か。この辺りのことを書いてみます。いろいろあるけど、やっぱりどんな人にも勧めたいのは散歩です。歩くというのは自然に仙骨に力が集まりやすいから。特に上り坂。妊娠初期に無理は禁物ですけど、安定期に入ったらどんどん歩いてください。ただこれも一概には言えなくて、腰の状況とか、ひざの向きとか、本当は一人一人丁寧に観る必要はあります。

ある年配の助産師さんの弁で、「昔に比べて産める身体の人が本当にいなくなった」という話があった。いわゆる「昔」を知らないけど、「そうだろうな」と思う。どれくらいを昔というかにもよりますが、現代と比べて妊婦さんの運動量が圧倒的に違うことが予想される。私が最初にお世話になった大家さんが今80代で、子育てをする時には「洗濯機」がなかったそうな。当然食洗機もない。炊飯器も出来たばっかり。家事で相当身体を動かしている訳ですね。幼少期から考えると足腰の運動量が今とは大分ちがうでしょう。

こういうことを考えただけでも、今の妊婦さんは努めて歩く必要性を感じます。自分の自宅出産の時には最初の陣痛から30時間かかった。お産は瞬発力ではなく持久力なのだ。100%の力を出すのではなく、20~40%くらいの力で一昼夜粘るような体力がいる。その時に「手術」は男の仕事だが、命を手助けする「助産」は女の仕事だとつくづく思ったものだった。だから筋トレみたいなスポーツ的なトレーニングは適さない。とことこ、とことこ、毎日歩くのがいい。もちろん、ちゃんとウォーキングシューズを履こう。それから下り坂はちょこちょこ小股でいく(転倒防止と、ひざを痛めないように)。平坦、上り坂はときどき大股で10歩あるいて、また普通に戻す。しばらくしたらまた大股で。これを繰り返すと良いです。

お産は事前準備が9割で、受胎以前からの過ごし方が何より大事です。身体を整えたから受胎して、妊娠期は身体の波に沿って生活すること。とにかく「産める身体を育てる」ということが基本になる。整体をやるやらないは別として、とにかく今の妊婦さんには歩いていただきたいなと思う。

つわり(頭痛編)

つわりといえば「気持ちが悪くなる」だけかと思っていたら、意外に頭痛の相談も多かった。妊娠中、特に初期の偏頭痛は腰がちゃんと開いてくると一緒に消えてしまう。頭痛もつわりの一環だったことを後で知った。

妊娠初期の頭痛の原因はホルモンバランスの急変など諸々考えられている。個人的な見立てでは、「頭蓋骨が固い」ことが原因だ。原因はやっぱり人それぞれだが、一般に夜遅くまで明るい部屋でパソコンやスマホを観ていると頭痛になりやすい。現代では特に妊娠が判った時点で極力早寝を心掛けることを勧めます。

頭痛の場合の対処法としては、寝る前に目に熱めの蒸しタオルを当てるといい。整体では「目は脳が飛び出して体表に出てきたもの」と考えていて、昔はどんな病気の患者にもみんな目に手当てをして治していた時代があったそうな。視神経が脳の中で感情を司る扁桃体のそばにある関係で、目に気持ちのいい刺激がいくと、心が「ほっ」とゆるむ。

整体では「蒸しタオル」をよく使うけど、チープな民間療法の匂いがするせいか勧めても実際にタオルを絞ってまで実践する人が少ないのが残念でならない。刺戟としてのかなり効果が高いことを自認しているので(経験知です)、つわりで頭が痛いという人は一度ためして欲しいと思う。

つわりの原因

一時妊婦さんの相談が続いていたが、春になると同時に落ち着いてきた。真面目に通われた方はだいたい良好だ。妊娠中は整体の好機で、小さい刺激でも身体がよく変わるから負担も少なくて済む。

開業から6年やるとなんとなく統計も取れてくるもので、妊娠期も寒い時期になると腰痛、出血、悪阻(つわり)、逆子など、もろもろ問題事が増える。もちろん寒さだけが原因ではないけど、やっぱり「冷える」ということは身体の動きをいくらか滞らせるのは間違いない。

ただ今年はつわりの相談が多かった。妊娠初期に半数以上の女性が「つわり」を味わう。結構つらいもので、多いのは「吐きたい感じ」だろう。それのみならず、風邪の症状みたいに頭が痛くなったり、眠気が強かったりして寝込んでしまうケースもある。世間では「妊娠期だから、無理してでも栄養を取らないと」と思う方もいて、こうなると余計に大変だ。何ごとも自然でいいのだ。

「つわりってなんだ」という話をすると、「妊娠・出産に向けて骨盤の変化が追い付いていない人が味わう不快感」だ。だから吐いたり、寝込んだりすることで骨格の各部がゆるんで、骨盤の開閉がスムーズに行われるように動いている。だから身体の平衡を保つ動きであって、「良いモノ」なんだけれど、本当は身体が整っていれば「つわり」なんていらないのだ。

つわりの対応としては、とにかく食べられないという方は食べないことが一番良い。体内に食物がない時、身体の機能は消化・分解・吸収・以外の全ての働きにエネルギーが注がれる。動物がケガをしたり、具合が悪い時に食べないで独りになってじっとしているというのは、生命の知恵である。

人間の場合はもう一つ効率の良い刺激の使い方があって、ちょっと骨盤が広がるようにもっていってやればいい。整体の技術では腰椎5番(骨盤・仙骨の直ぐ上)を刺激する。誤解・誤用があるといけないので方法は示せないが、これだけでほとんどのつわりは消えてしまう。自宅でやれることとしては、腰の下部(腰椎5番)を蒸しタオルで5分くらい温めてあげればいい。やる時間は朝と晩、1日2回位でいいだろう。コツは8時間以上間をあける事。あとは好きなように動くということくらいかな。

難しい相談かも知れないが、妊娠初期に体調不良を訴える方はほとんど就業している。可能な限り早く産休を取ることをおすすめしたい。一番大事な話はこれだな。出産は女性一生の大事なのだから、つわりなどの不調の出ている方は勇気を持って休んでいただきたい。嫌われる程の勇気はいらないはずだ。

予防接種とは何なのか 自分の頭で考えよう

今日は午後、太郎丸の保育園の「入園前検診」に行ってきた。これまで予防接種、投薬まったく無しできた太郎丸は初の病院体験である。

検診の内容は、「お腹の音を聴く」→「背中から聴く」→「口を開けて喉チェック」→「体重・身長測定」→完了。うーん・・。整体の世界の10年ひたると、こういう一般的な「健康診断」の方がかえってシュールに感じる。何と言っていいか、「何がわかったんだろう?」と思う。失礼な話かもしれないが。

さて、お医者さんとしては当然の義務として予防接種に話は及んだ。

医師「(母子手帳を見る)・・?・・予防接種を全く打ってませんね。」

私「ええ。」

医「何か理由があるんですか?」

私「いえ、別に。」

医「保育園に入る時、予防接種を全部打ってくださいって言われますよ。」

私「そういう話は一切聞いてません。」

医「そうですか・・・。」

・・・終了。

ちなみに予防接種は強制ではなく任意です(あたりまえか)。本人や保護者の承諾なしに注射器で体内に異物を入れる法律ができたらそれは大変な事態になる。「予防接種」については現在もろもろ情報が出回っていて、否定的な見解がじわじわ広がっているというのが実状か。(ご存じない方は、一例としてこちら

それで自分がガチガチ否定派かというと、そうでもない。当然肯定派でもない。いずれにしても情報の出所がはっきりしないし信憑性にも欠ける、というのが私見だ。肯定でもなく否定もしない、だから「何もしない」という選択になるのだが、根底では「無要」と思っているんだろうな。

言うまでもなく「生老病死」はワンセットなのだ。老・病・死をなくして、生もない。気張ったところで頭のおかしい親だと思われるのが関の山なのだが、心情的にも社会的立場においても、子供の「整体」を保つのが自分の努めである。