活元会 2017.11.2:その人の心を清めるように動いてゆく

活元運動に上手下手はございません。

…そういう意味で敢えて進歩を言うならば、心が天心で、その人生観が自然に従って素直に生きてゆくということです。そういう自然の感じ方が身につくかつかないか、意識的な努力、意識的な気張りでやっているかどうかということが、上手と下手を分けると思うのです。

そういう気張りがだんだんなくなってくると、運動も自然になる。運動の現象が変わらなくとも、運動の内容はその人の心を清めるように動いてゆくと思うのです。つまり上手下手でなくて、その自然の感じというものが身についたかどうかということの方に問題があると思います。(『月刊全生』平成28年2月号 pp.11-12 活元運動について 2 太字は引用者)

今日は11月最初の活元会でした。上は教材からの引用です。

活元運動をやっていくことによって、自然と人生が良い様になっていくことを説いています。

文中に「心を清める」、「自然の感じ」という表現がありますが、 “活元会 2017.11.2:その人の心を清めるように動いてゆく” の続きを読む

活元会 2017.10.19:ユングが直感した西洋的自我(理性)の限界性と身体(感覚・感情・無意識)に秘められた可能性

今日は活元会でした。

いつもいいますが長く続けている方は運動が変わってきます。だいたい腰椎部の芯から動くようになってくると、「ああ、それっぽいなー」という感じがします。

長いと言ってもそもそもうちの会自体が古くはないので、3~4年くらいですけれど。

それでも新しい方が来てはじめられると、前から来られている方には年季を感じます。私は三日坊主の王様みたいな人間ですが、こんなときはやっぱり「継続」って大事だなって思うものです。

さて、今日の教材は前回に引きつづきこちら。


『ユング心理学と現代の危機』湯浅泰雄、高橋豊、安藤治、田中公明の四氏の共著 河出書房新社。

前回は高橋豊氏のパート「ユングの「精神的危機」と個性化過程」の最後のところを使ったのですが、今回は改めてこれはもう一回読み直そうということで頭から使うことにしました。

ユングの無意識体験(予知夢)というところですが、ここはユングが第一次世界大戦に先立っていろいろな悪夢を見る話です。

いわゆる理性を主体とした西洋的自我の限界と行き詰まりを早々に予見して、その暗々裏に肥大していく人類全般の危機的状況をいかにして打開すべきかというテーマでユングの個人的思索がなされていく、その序章です。

本の題名はユング心理学と現代の危機、と銘打ってあるわけですが、私としては「日本の現代」に限定して考えるのがライフワークみたいなものですね。

近代以降の日本は理性(頭)に偏ったことで感覚や感情(身体)というものがだんだん希薄になってきているのが実状です。

そこで「野口整体」というものがその感覚・感情というものを呼び戻すための手段として使われるのが、一つの有効な利用法であると考えています。

とりわけ都心にあっては自身の感覚に沿って体を使うということが少ないものですから、活元運動で五感をよく目覚めさせて、生活することで頭と体のバランスをとっていくとちょうど良いのではないかと私は思っています。

年を取っていても、病気があっても、体力がなくても、活元運動はできますから身に付けておかれて損はないものです。自分の体の可能性を開拓していきましょう。

今月は次回が最後、10月28(土)です。

活元会 2017.10.14:「個性化」とは?人生の後半に充実感を持たせるための大切なプロセス

昨日は活元会でした。

今回の教材はこちら。


『ユング心理学と現代の危機』河出書房新社

著者は複数、湯浅泰雄、高橋豊、安藤治、田中公明の四氏。うち、高橋豊氏のパートから。

テーマは「個性化」です。

まず「個性化」というのが少し専門的ですから、これについてまず河合隼雄先生の『ユング心理学入門』より引用してみると、

個人に内在する可能性を実現し、その自我を高次の全体性へと志向せしめる努力の過程を、ユングは個性化の過程(individuaton process)、あるいは自己実現(self-realizaation)の過程と呼び、人生の究極の目的と考えた。そして、われわれが心理療法において目的とするところも、結局はこのことに他ならないのである。(河合隼雄著『ユング心理学入門』培風館 p.220 太字は引用者)

と、このように書かれています。

この「自我を高次の全体性へと志向せしめる努力の過程」というのをもう少し平易に表現すると、

自分の人格の成長を思って努力している過程」というような表現でもよいと思います。

この個性化こそが心理療法の目的である、というのが河合先生(元はユング)の論です。

そこで「どのようにしてその個性化を行なっていくか」ということが問題になるわけですが、ユングは自身の精神的危機を乗り越えて行く過程で「ヨーガ」を活用したと言われているのです。

つまりユングは当時の西洋にしてはかなり前衛的な試みとして、身体を通じて心の再編を行なうための実践的方法を追及していました。

そこに一つの強力なガイドとなったのが東洋思想と、東洋的な身体行法であったと考えられています。

当然ユングは年代的にも地理的にも日本の活元運動の存在は知るよしもありませんでしたが、この意識を閉じ、無意識に任せて行う活元運動は、自我を高次の全体性へと向かわせる手段として、非常に適しているものなのです。

野口整体には「全生」という、心を自我という枠から解放して命を全うする生き方を推奨する、教義があります。

これは先に挙げた心理療法における個性化、あるいは自己実現という概念と目標をほぼ等しくするものです。

当会の場合は、その「全生」あるいは「個性化」という方向へ生命を向かわせるための大きな推進役として「活元運動」を位置づけています。

何ごとも「目標をどこに置くか」で着地点は変わるものです。

志ある方は「よく生きる」という目標をもって、全身のちからを抜き、意識を鎮め無心のちからを体得しましょう。

次回、次々回の活元会は、10月9日(木)、28日(土)です。

活元会 2017.10.5:ポカンとできない、ポカンってどういうこと?

今日は10月最初の活元会でした。

長編の教材を用意していたのに今回は使わずじまい。あら‥。

いや、話の流れで「ポカンとするってどういうこと?」というテーマでしゃべった気がします。あんまり覚えてないんだけど‥。

それで教材は使わないで、日本に曹洞宗の禅を根づかせた道元禅師による『普勧坐禅儀』(みんなにおすすめできる坐禅の仕方)から下の一節、

心意識の運転を停め、
(しんいしきのうんてんをやめ、)
念想観の測量を止めて、
(ねんそうかんのしきりょうをやめて、)

とういうところを使って野口整体でいう「ポカン」についてつらつらーっとしゃべっていったと思います。

つまり、

ここらで一回、こころの働きということを一切やめてみましょうよ、

思いというもので、ものごとを測るのもちょっとの間やめませんか、

という感じでいいと思うのです。

そうすると、何がどうなるんですか?っていうと、

まあ何も起こらなくなるんですね。

世の中にさまざまな悩みの種とか問題がありますけれども、問題を起こしているのは必ず自分です。

つまり、現場はいつも向こう側ではなくこちら側。

その自分というはたらきの中でもあえて限定すると、

「頭の中」

ですよね。

そこがピタッと収まるように、自分自身を持ってってやる。

もう少しくだいていうと、

頭のはたらきが止まる、という「身体の構え」があるわけです。

そういうものがさっきの道元さんに代表されるお坊さんたちの修業の核心部分だと、わたしはつねづね思うのです。

そのために「坐禅」もあるし、それ以前に朝から晩までお寺の掃除をしたり、お庭の草をむしったり、ご飯を作って食べて、お茶碗を洗って、という「作務(さむ)」があるわけです。

そうやって、身体内に余剰エネルギーを残さないように自分自身をくまなく使っていく。

また、そういうことを出家した坊さんだけの特権と考えないで、われわれだってやれるし、またやれないと「救い」っていうものがもう本当にみなさんの日常の生活から遠い存在になってしまう。

それじゃあだめでしょう?

この身体というもので誰もが修行ができて、自分で自分を修めていく、救っていく、というそういういき方でなければ本当の意味でみんなの役には立たないでしょう?

活元運動っていうものはそういう系統の、つまり東洋的な身体行のエッセンスといって差し支えないものです。

だから体力のあるひとないひと、若いひともいれば年寄りもいるし、男でも女でも同等に行なえる、病気があるとかないとか、そういうこととはまったく別次元の生理的な作用の部分で訓練をしているわけです。

そして個人個人にピッタリ適合した体運動がきちんと行われることで、身体の脱力がすすんでいって、これに応ずるように頭のはたらきというのが徐々に静まってくる。

つまり「ポカン」になっていく。

こういうプロセスというか、ちゃんとした生理学的な道理があるわけです。

最近は、考えるのをやめましょう、頭のデトックスをしましょう、スマホを長時間見つづけるのはやめましょう、

と、

そういうことを巷でもよくすすめていますが、

頭が休まるとか、心の平安とか、安心とか、ポカン、

こういうものはみんな、

考え方とか思考形態のバリエーションではなくて、

身体能力なんだ、れっきとした身体の技術、なんだ、

っていうことを、

なるだけ早い段階でおさえてもらいたいのです。

つまり頭だけの問題ではなくて、

首から下の状況っていのがものすごく大事。

「悟り」だってそうでしょう?

道理とか理屈のものだったなら、文字で読んだり、話で聞けばみんな済むことになってしまう。

道元禅師だって中国(宋)まで命懸けで教えを乞いに行く必要はなかったってことになっちゃう。

ところがやっぱり、こういうものは自分自身の心と体をフルに使って、自分自身に実証してやる必要があるんです。

「ああ、なるほどな」

「ポカンとするっていうのはこういう状態なんだ」

「からだがこうなるから頭が休まるんだな」

っていうことを、実体験して、それで自分自身のちからにしていかなくっちゃあいけない。

人にやってもらうようなものじゃあないんだよね。

そういう意味で、みんなで修業しやすい環境を作って、一人ひとりが自分に取り組んでいく。

そういうような感覚で「活元会」っていうものを利用していただければ有意義な「場」になると思うのです。

昔からそういう場所のことを、

「道場」

と、こう呼んでいたと思うのです。

まあちょっと穿った言い方をすれば、

本当はいま、みなさんの身体のあるところが道場、といってもいいわけですけれど。

「歩々是道場」

っていったりしますしね。

ともかく体をこまやかに整えていく。

そうやって自分自身を大事に使っていく習慣を身に付けるんです。

粗雑なのはだめ。

だからポカンっていう「頭のはたらき」だけにフォーカスしないで、

自分の手足、枝葉末節から、腰、要の部分ですね、

そういったところまで、

体のパーツ、パーツをこまごまと、上手に手入れしながら丁寧に使っていく。

そういうことの積み重ねで、ようやく「精神」のはたらきっていうのは少ーしずつ上質な方向へ変わってくるわけです。

むかしから「精神修養」っていいますけど、そういうことだと思うんですよね。

ま、体のことでも心のことでも、現代はあまりにインスタントな手法に流されやすい、

世相全般にそういう風潮があると思うので、整体っていうのはまず、「そういうものとはちょっと違うんだよ」っていう認識は必要かなと。

なにも厳しいわけではないし、むずかしい話でもないと思うんですけど、着眼っていうか目のつけどころがちがっちゃうと、やっぱりいくらやっても成果は上がってこない。

「まちがいのない」ようにやっていただくことだし、こちらもミスガイドにならないように気をつけながら、これからもやっていこうと思ってます。

次回は、10月14日(土)です。

10月活元会のお知らせ

10月の活元会を下記の日程で行います。

■日程

10/5  (木)10:00-12:30

10/14(土)10:00-12:30

10/19(木)10:00-12:30

10/28(土)10:00-12:30

※12:30-13:00頃まで茶話会

■内容

野口整体の資料をつかった座学と活元運動の実習
終了後お茶の時間があります(13:00くらいまで 自由参加です)

■参加費

2,000円

■その他のご案内

服装は白系の落ち着いたものが適しています(色柄も可です)。サイズはお腹を締め付けないゆったりとしたものをご用意ください。途中参加・退出を希望される方は事前にお申し出ください。

ご参加を希望される方は前々日までにお電話・メールフォームにてお申し込みください。

活元会 2017.9.21:野口整体とは生命に対しての礼

今日の活元会でした。教材のテーマは「生命に対しての礼」。

「野口整体とは何か?」と問われたときに、まず思い浮かべるのは「いのちを大事にすること」ということです。

それは自分の生命も大事にするし、他人の生命も大切に、大事にしていく。

そういう考え方を身をもって学んでいく姿勢を「野口整体」だと、こういうふうに呼んでみるとしっくりいく感じがするのです。

そのために活元運動を学び、愉気法を学び、整体操法を修めていく。

そういうような心づもりでつづけていくと、2年、3年と経ったときに、きっと身体のほうがそうした気持ちに応えて変わってきてくれると思います。

ところで今日の教材であつかいましたが、この活元運動というのはもともと秘伝であったのです。

諸般の事情で不特定多数への公開をはばかるという面もあったと思うのですが、それ以上に各々が「やる気」になってやっていただかないと、遊びとも健身法ともつかない変な集まりになってしまうかも知れません。

今のように、あちらでもこちらでも手軽に体験できるようになると「有難味」というのがうすれますが、往時は高額の講習料を納めてはじめて習うことができる貴重なものであったそうです。

これに因んで、むかし親鸞というお坊さんが「南無阿弥陀仏といえば救われます」といって村の人たちに説いてまわったという有名な話があります。

このような現代の人がなかなか信じないようなことでも、当時本気でその「念仏」に取り組んだ人たちの中には、それで救われた人がだいぶいたと思うのです。

「信仰」というものには概してそうした要素があって、なにか軽いアソビ程度のものだと思って半信半疑でやっていたら、何ごともたいした恩恵には預かれません。

「これは間違いない」、「本気でやろう」と思って心を一つにしてやっていくと、何ごとも目覚ましい成果が上がるものです。

これは教える方、指導者の力量も深くかかわってくる問題なので、一概に学ぶ人にばかり責任を負わせるわけにはいかないのですけどね。

しかし、うちのような日の浅い指導室でも数年つづけた人たちをみると、やはりどこか普通の人とは雰囲気がちがってくるから活元運動は素晴らしいと思います。

すこし見なれてくると「整体の人」というのは、すぐに見分けがつくようになります。

効果のほどは実際に体験してみないことにはわかりませんけれども、何にせよ自分で心血を注いて育てた身体というのは財産でしょう。

だれかに盗られたり、落っことしてなくすようなこともないですし、ぜひそういう「体育」というのを楽しみながらつづけていかれたら、それはそれで実りのある時間になると思います。

歳月を重ねてだんだんと心身が成長して行く姿をみるのは嬉しいですし、楽しいです。整体は一生ものです。

9月活元会のお知らせ

9月の活元会を下記の日程で行います。

■日程

○9/3 (日)10:00-12:00

○9/7 (木)10:00-12:00

○9/17(日)10:00-12:00

○9/21(木)10:00-12:00

■内容

整体・心理学の資料を用いた座学及び活元運動の実習
終了後お茶の時間があります(12:20位まで ご参加は任意です)

■参加費

2,000円

■その他のご案内

服装は白系の落ち着いたものが適しています(色柄も可です)。サイズはお腹を締め付けないゆったりとしたものをご用意ください。途中参加・退出を希望される方は事前にお申し出ください。

ご参加を希望される方は前々日までにメールフォームにてお申し込みください。

8月 活元会・修養会のお知らせ

8月の活元会・修養会を下記の日程で行います。

■日程

○8/6 (日)9:45-12:15 活元会

○8/10(木)9:45-12:15 活元会

○8/20(日)9:45-12:15 活元会 / 12:30-14:00 修養会

○8/24(木)9:45-12:15 活元会

■内容

○活元会 座学(教材の素読・音読)・活元運動の実習

○修養会 野口晴哉の「潜在意識教育」と中国の古典「老子・荘子」、ユング派の分析心理学などを主な教材として整体を実生活に応用して活かすための勉強会(座談会形式)

■参加費

各会ごとに2,000円

※8/20の午前(活元会)と午後(修養会)の両方にご参加の場合は3,000円

■その他のご案内

服装は白系の落ち着いたものが適しています(色柄も可です)。サイズはお腹を締め付けないゆったりとしたものをご用意ください。途中参加・退出を希望される方は事前にお申し出ください。

■初めての方へ

いずれも「整体という生き方」を学ぶための実践の会です(初心者でも無理なく始められる内容です)。ご参加を希望される方は前々日までにメールフォームにてお申し込みください。

※最近初心の方からのお申し込みメールにおいて「記入もれ」が多くなっています。またホームページ、ブログをほとんど読まずに申し込まれる方もいますが、当院が公開している情報は取得しているものとして進行します。限られた時間内での実習となりますので、よくよくお心得の上ご参加くださいますようお願いいたします。

7月 活元会と野口整体の勉強会のお知らせ

7月の活元運動の教室は下記の日程で行います。

また、今月は第四週日曜日(7/23)の午後に、野口整体をもう少し深く学ぶための座談会(修養会)も行います。

■日程

○7/9 (日)9:45-12:15 座学・活元会

○7/13(木)9:45-12:15 座学・活元会

○7/23(日)9:45-12:15 座学・活元会

○7/23(日)12:30-14:00 修養会(野口整体を学ぶ座談会)

○7/27(木)9:45-12:15 座学・活元会

■内容

○活元会 脊髄行気(瞑想)・座学(教材の素読・音読)・活元運動の実習

○修養会 野口先生の「潜在意識教育」と中国の古典「老荘思想」を主な題材とし、整体を実生活に応用して活かすための勉強会

■参加費

各会ごとに2,000円

※7/23の午前(活元会)と午後(修養会)の両方にご参加の場合は3,000円

■その他のご案内

服装は白系の落ち着いたものが適しています(色柄可です)。サイズはお腹を締め付けないゆったりとしたものをご用意ください。

今月は途中参加・退出可とします(事前にお申し出ください)。

■初めての方へ

いずれも「整体という生き方」を学ぶための実践の会です(初心者でも無理なく始められる内容です)。

ご参加を希望される方は前々日までにメールフォームにてお申し込みください。

※最近初心の方からのメールにおいて「記入もれ」が多くなっています。またホームページ、ブログをほとんど読まずにお申し込みされる方もいますが、当院が公開している情報は取得しているものとして進行します。限られた時間内での実習となりますので、よくよくお心得の上ご参加くださいますようお願いいたします。