何だか最近電話の問い合わせやら通院されている方から「整体を教えてください」と言われる。人にモノを教えられるような境涯ではないので教授はお断りするよりない。

野口整体は受けてみると「自分も人にやってあげたい」と思うのが特徴かもしれない。思い起こせば自分の発心もそんなところにあったような気がする。

一般的には「技」の修得が必要だと思われるかもしれないが、整体は身に付けるのではなく余計なモノを取修行である。これはいわゆる禊(身削ぎ)だ。「この人にやってあげたい」という気持ちを「そのまま」手当てにすれば即座に愉気になる。

しかしながら「そのままやる」のが至難なのだ。整体では余念のないことを天心と説くが、そこで天心を求めると天心に背く。ただひたすら「そのまま」やること。

ただし、一度磁石にくっついた鉄は磁気を帯びる。これと似た感覚で愉気を受けた経験がある人なら手当ては誰でも、やがては出来るようになる。あえてこつを言うなら、淡々とやること。結果を期待しないで静かに手を当てれば上手くいくだろう。

心・技・体の言葉通り、最初に心が来れば技も体も付いてくる、と思う。