足の拇と腰:外反母趾は腰を治すことで再発しなくなる

人間は足の拇(おやゆび)に体重が乗ったことで、直立し両腕が使えるようになった。そしてさらに両手の親指が他の指から独立したことで言語が発達した。

こういう経緯からもわかるように、足の拇はヒトから人間へと自立させた立役者である。まさしく人間存在の要なのだ。

逆もまた真なりで、意欲をなくし、自立性を失いかけた人は足の拇に体重が乗らなくなってくる。これは腰が抜けたことによる随伴現象で、外反母趾の予兆でもある。外反母趾は生活の中で心の全体性が働いていないことを象徴しているのだ。

つまり足の拇・踵・小指の三点に重心がうまく分散されていれば、精神活動の健全さは実証されている。また精神活動はすぐに腰の体勢にも反映されるため、外反母趾の治療において腰を正すことは非常に有効であり必須のプロセスである。

実は足腰というのはお互いの刺激による双方向性がつよく、腰を正せば足も正されるし、足をしっかり使えば腰はより柔軟に丈夫に発達する。昔から足うらだけを刺戟して全身の治療を行なう技術がいくつも生みだされてきたのは、理論上おおいにうなずける話なのだ。

ここでは専門的な治療技術は抜きにして簡単な訓練法を紹介すると、拇の根元に力が「入るように、入るように」とそこに気持ちを入れて歩くだけでも続けていればかなり姿勢は変わるのだ。先にも述べたが「足腰」という言葉があらわすように、足と腰は一蓮托生のもので足を正しく刺戟ことで腰を整えることは充分可能なのである。

腰がかたい人はあぐらのような格好で、足の拇だけを手で持ってぐるぐる回してみると良い。しばらく続けると腰がゆるんで動いてくる。寝る前に行うと入眠もよくなるのでおすすめだ。