ノアの箱舟

ノアのはこ船地球のすべての生き物には「適応」という力が具わっている。これによって必要な力は伸び、不要な力は失われていく。髭が剃るたびに濃くなり、歩けば脚が太くなるのもこの適応の産物である。

病菌を殺せ罹患者を近づけるなと、外から来るストレスを忌避し逃げ惑う間にも、この適応作用は刻々と働いていることを忘れてはならない。病気を遠ざければ、これを活かし共生する力もどんどん委縮退行していく。

一方人間によって過酷な環境にさらされた病菌は、同じくこの適応作用によって変異と強化を繰り返しつつ、逞しくその活動領域を保持していく。

効いていたはずの薬が効かなくなり、常用者の使用量が増え、絶えず新薬の開発が希求される要因は「適応」を見落としているためである。

人間の衛生を目的とした行為が、自ら進んで武装解除し種の弱体化と滅亡への道を歩んでいることに早く気づくべきだ。

コロナ禍という禍(わざわい)が実在するかは定かでないが、これに怯えることなく進んで生命をストレスに晒していけば、禍も転じてノアの箱舟になるやもしれない。

活元運動を真面目に行う人は、箱舟はもともと自分の中にあったことにやがて気がつくだろう。自分の力を自覚すると、洪水のさ中でも平素と変わらず浮かんでいることは決して難しいことではない。