活元会 2017.12.23:意識以前の心の育て方2

12月23日活元会は前回に引きつづき野口晴哉著『潜在意識教育』全生社 を使いました。

どんな自分をつくらせるか

子どもの心の中にどういう自分をつくらせるかということは、空想を方向づけることによって可能である。お前は嘘つきだ、お前は悪い子だ、お前は強情だ、そんな風に不用意に言った親の言葉が、自分というイメージを歪めているかもしれない。或いは「そうじゃない」という反撥する心を起こしているかもしれない。しっかりしろと言うとがっかりするように、弱虫だと言われたことによって、強くあろうとする心が起こっているかもしれない。けれども、方向づけるために行っているのではないのだから、歪める度合は普通より大きい。不用意に言った親の言葉というものは、意外な結果を招くもので、親自身が心の中でどういうことに一番抵抗があったか、それを考えてみれば分かる。不親切だと言われたために、人に親切にすることが何となく晴れがましくて、親切にしたいと思いながら親切ができない。往来に倒れている人を見ても、他の人が助けてやるのなら親切だと思えるのに、自分がやろうとすると何か晴れがましくてできない。そういうことが、子供の時分に不用意に言われた不親切だとか、或いは親切だとか言われたそういう言葉のために、或いはその言葉に抵抗があったためにできないということがよくある。たいていの人は気がつかないで通っているけれども、子供の行為が率直にサッと出ない時には、何らかのそういう心の中に起こった観念というものが邪魔をしている。(前掲書 pp.86-87 太字は引用者)

 

ちなみに前回が今年最後の活元会です。

気がついたら下半期の座学は、無意識や潜在意識関連の教材を野口整体・ユング心理学という2つの畑から持ってきての勉強会になっていました。

21世紀は「こころの時代」と言われていたものの、フタを開けてみれば「身体」の時代になっています。或いは、もしかしたら「たましい」の時代なのかもしれません。

なんにせよ呼び方が違うだけでその意味するところ、求めているところは同じではないかと思います。

つまり一人ひとりが独自の「生き方を考える」ことが求められていて、自分だけの「神話」とか「宗教観」を作り上げなければならないのが現代の日本である、と言えそうです。

例えば大型の書店に入ると「自己啓発コーナー」のようなものがあって、潜在意識をコントロールしようという切り口のものが沢山出ています。

良書もけっこうありそうですが、人は本を1冊2冊読んだくらいではなかなか変われないのも実状です。人間の心をほんのわずかでも「変える」ということはなかなか大変なことです。

親は子供を「教育する」という目的で、物心がつく前からいろいろな観念を入れていきます。入れていくけれども、それがなかなか思ったようには功を奏さないで、大抵は親が「こうしよう」と目論んだ場合、健全な子供ほどその反対の方向にむかって走る。

あらぬ方向に走るから「非行」と呼んだりするけれども、これは心の平衡要求というもので、いわばバランス作用です。正常な、体力のある子どもなら「右に行くな」と強く言われるほど、どうしたってもそちらに行きたくなる。

こういう単純な仕組みからはじまって、これに加えて心理学の「影」とか「投影」といった心や感受性の仕組みを理解する人が少しずつでも増えていくことによって、人と人との関係性をいくらかでも上質なものに変わっていけるかもしれない。

その結果、家庭や教育の現場でも子どもの心をできるだけノーマルに保って、世の中から余分ないざこざを減らすことになるのではないか。

私見ですけれども、野口先生の、特に晩年の活動にはこういった願いがあったのではないかと思うのです。

心をいかに育てるか、心と体の関係をどのようにして良好に保つか、という学びは今後もますます需要が高まる分野でしょう。そうしたことも踏まえて、来年以降も活元会はしばらく現行の形で続けていこうと思っています。

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