営業時間短縮の影響で近所の居酒屋さんでも弁当を売るようになった。
ごはんメインのお弁当の他に自家製のカツサンドなんかも置いてある。いま飲食はどこも大変だろうけど、こちらもアイデア出しの苦労が伺える。
酷暑の迫る中弁当を買いながら「マスクが苦しそうですね」と言うと、「キツいです(笑)、テレビでやってたんですけど、ずっとマスクしてると免疫力落ちるらしいですね」との返答がかえってきた。
おそらくそうだろう。人間も自然の生き物である。だから自然の適応の仕組みからは免れ得ない。普段は常に雑菌が鼻や口から入ってくるために、この数を体の中で調整しながら個体の健康を保っているのだ。
こうした微生物の侵入がしばらく途絶えれば、雑菌の量を調整したり活用したりする力は自ずから退縮するかもしれない。
とはいえ、ふたたび免疫能力が必要な環境に浸れば再適応がはかられてその力は増してくるはずだ。
生き物はみな絶えず外界からの刺激に応じて変化するのだ。こうしてある種の「平衡状態」を保とうとする働きがある。
もう少し平たく言えば、いつでもどこでもバランスを取ろうとする働きがあるのだ。
このように考えていくと、飲食店の営業時間短縮もマスクの濫用も、大自然の一部である人間の思考が生み出した自然の産物ということになる。
いずれどこかでこの均衡が破れたら、状況は破綻してまた次の平衡状態に向かって流れていくだろう。
もとより生命の活動に出発地点もなければ目的地もない。腰をかけて留まっていられるような場所は何処にもない。
完全無欠の「今」という同次元をみんなで共有し生きているのだ。
頭で考えているうちはこの「今」を本当に味わうことはできない。本当は考える前をみんな生きている。
それにしてもあまりに人間は自分の力を見失い、自己を過小評価しているのではないか。頭が大きくなりすぎて現実認識がボケていると思う。
もっとまっさらな目で自分という活動体を自覚する必要があるのではないか。それも今この瞬間に。