自分でできる逆子ケア

当院は開業当初より逆子(骨盤位)のご相談を受けてきました。野口整体では妊娠・出産にまつわる独自の考え方や方法が残されており、逆子の対応も現代医療とはその考え方も対処法も異なります。このページでは自宅でできる逆子ケアということで、この辺りのことを項目ごとにご紹介してみようと思います。

1.過度な刺激は避ける

まず最初に、これだけは守っていただきたいということがあります。それはどんなに今すぐ逆子を治したいと思っても、妊娠期の「荒い、強い刺激」は絶対に避けなければいけません。具体的にはお腹をぎゅーぎゅー押したり、無理なストレッチをしたりすることは母体も胎児も緊張してしまい、逆子が治るどころか反って逆効果になってしまいます。それだけでなく時にケガや事故にもつながる可能性がありますので、不安であってもそのようなことをされている妊婦さんは今すぐやめるようにしましょう。

2.足(下半身)を温める

次にどんな人にも安心して勧められるのは、「足を温める」ことです。一般に「頭寒足熱」といって健康な体は下半身が温かいものです。逆子はお母さんの気がひっくり返っている(頭部が熱く、足が冷たい)時によくなりやすいので、おでこを触って熱いような人は下半身を温めてみましょう。

この場合はホットカーペットや電気ストーブよりも、「足湯」が適しています。整体で「身体を温める」時には蒸しタオルを使うなど、必ず「湿度をともなった熱刺激」を使います。皮膚の構造上、湿度がある方が熱が体内に浸透しやすいようになっているからです。

足湯はやや熱めのお湯で5、6分位が適当です。刺激というのは「ギュッと使って止める」ところまでが刺激です。一度温まって冷めることで、身体が活性化して今度は「自力で温めよう」という体内の力が働きます。これとは逆に、一定時間(だらだらと)外から保温していると、身体が対応してだんだんと冷えてきてしまいます。そのため一日中くつ下の重ね履きをしているなどは、あまりお勧めできません。

3.歩く(散歩)

逆子の中には運動不足によるものがあります。自宅出産が当たり前であった昭和20年代に比べて、現代の妊婦さんは全般に運動が足りません。これには生活環境の変化もありますが、もう一つは医療機関で妊婦さんに「安静」をよく勧めるようになったことも考えられます。明確な持病があるなど是非に安静が必要な場合もありますが、妊娠期はとにかく適度に身体を動かすことが安産の秘訣です。ただスポーツクラブやジムで鍛えると外側の筋肉が固くなり易いので、下手をすると難産につながりますので多くの方には勧められません。やはり自然にインナーマッスル(腰・骨盤の大腰筋や腸骨筋)を刺戟できるウォーキングが最も安全で有効です。

妊娠期の散歩の仕方はこちらをご覧ください。

※腰痛があったり、恥骨・股関節が痛むような人は無理やり散歩をしないで、専門家に身体を観てもらった方が良いでしょう。「痛いこと」は身体に無理な負担がかかっていますので、妊娠期は特に避けなければいけません。

4.話しかける

野口整体の育児で特徴的なのは、「子育ては生まれてからでは遅い、受胎と同時に始まるものである」という考え方です(受胎以前も大切です)。その中でも「胎児に話しかける」ということは、身体が出来る以前から、母子の心と心をつなぐ手段として整体では古くから勧めていました。

逆子のお腹に触れていると時おり、全く反応のない子供がいます。受胎以降に何らかの事情で緊張を強いられてきたと思うのですが、こういう子どもでも母体の環境を整えながら話しかけを繰り返しているとやがて胎動も活発になります。心のつながりがよく出来た上で、「逆さまだよ」、「生まれてくるときは頭からにしようね」と言えばほとんとの赤ちゃんが出産までには正常に直ります。

5.熟睡する

眠りは何より大切です。妊娠したら好きなように寝返りが打てるような、のびやかな環境で眠ることを心がけましょう。もし上にお子さんがいたり、パートナーの方が横にいるおかげで動きや体勢が制限されるようなら一人で寝られるように相談する必要があります。難しい場合もあるかもしれませんが、お腹のお子さんと安産を迎えるためですから、優先順位を明確にして自身の責任で快適な環境を造っていくことが大切です。

もう一つ現代は妊娠してからも男性と同じような労働条件で働いている方が多く、夜遅くまで目にパソコンやスマホの光を浴びていることがよくあります。深夜に目から強い光が入ると脳がその刺戟を受けて、朝夜で切り替わるはずの自律神経系のリズムがくるってしまいます。こうなると眠りの質も大きく低下します(時間もですが「質」が大切です)。床に入ってからもなかなか眠れないような生活は、早めに改めたほうが良いでしょう。

どうしても眠れない習慣が直らない妊婦さんは、蒸しタオルをしぼって目か後頭部(いずれか一方)を5分くらい温めてみてください。これだけで自律神経のバランスが整い、熟睡できるようになる方もいます。

6.人と話す

意外と見落としがちなのが、逆子の時のお母さんの心の状態です。特に初産で近くにご両親がいなかったり相談する人がいない場合などは、妊婦さんは人知れず孤独なものです。そのような時期に逆子になって帝王切開の説明などを受けると、そのストレスでさらに不安になって心がより緊張してしまうことがよくあります。一人の時間が多すぎる人は、気の合う人と積極的に合って話すなど気分転換をすることもお勧めです。

7.何もしない時間を作る

ここまで「何かする」ことを書きましたが、実はもう一つ「何もしない」ということも大切な方法です。当院には、逆子とわかった途端にネットで調べて逆子体操をして、鍼灸院にお灸をしに行って、整骨院に骨盤矯正に行って、マタニティヨガもやって、というようにバタバタと動き回ってから相談に来られる方がいます。こういう方にはまず「落ち着いて」いただくことが最初の着手になります。

統計的に見ても、逆子のまま出産に至るケースはだいたい4~5%と言われています。妊婦さんが20人いたら一人以下ですね。ですからほとんどの方が「自然に直る」のです。ところが、いろいろなことをやり過ぎて、かえって母子の「自然を乱している」ことが少なくありません。赤ちゃんにも心が働いていますから、お母さんが悩んでいたり、気ぜわしいことは嫌なものです。一日の中でいつでもいいですから、ソファーなどにゆったり腰を掛けて、自分の心と体、それからお腹のお子さんを感じる時間を作ってみることを心掛けてみましょう。

以上ここでは7つ紹介しましたが、一つ一つの行動よりも全般に「妊婦さんとしての心構え」が見えるように考えて書きました。ですから本当はもっとあなたに合った色々な方法があると思います。原因を知り正確に対処することができれば、大半の方が無事に自然分娩(安産)を迎えることが出来ます。また妊娠期はいろいろな刺戟に対して敏感です。治療院などに行かれる場合は「近いから」などと不用意に選ばずに、よく調べてから(できればお知り合いの紹介などが一番です)相談される方が良いでしょう。逆子の対処は早いに越したことはありませんが、下手にいじると母体にとっては負担にしかなりません。

まずは身体の感覚を確かめながら、上の7つの方法を試してみてください(気持ちの良いことが基準です)。