人生は修行だという。その一方で遊行、人間はこの世に遊びに来ているんだという人もいる。どちらにせよ人は何かしら「行」をしている。ただ凡庸と息吸っているというヒトはこの世に一人としていないと思う。
一見ツルリと、なめらかに生きているように見えても、ひとたび背中にまわって触れてみると、この娑婆においては一人ひとりがそれぞれ違う立場から人に言えない苦しみや悩みに相対していたりするものだ。
そうした葛藤が「病気」という形で現れることもしばしばだけれども、症状だけを追っかけたところで「その人」を捉え、受け取ることはできない。
世俗にあって千差万別の苦労があるのでしょうが、心身ともにどんなに泥まみれになっていても僕の指導室に来られた方は必ず、その「想い」も「身体」もまるごと受け取ろうと今は覚悟している。
開業する前からいろいろなものを見聞きしてきたが、僕にとっては野口晴哉の整体ほど素晴らしいものはないと信ずるようになった。心の奥底に、どこにも持って行き場のない「痛み」があれば一切合切をここで捨てていっていただきたい。
プロを宣言して一年余り、出会いのすべてが学びとなって、多くの人に支えられて今日までこれた。遅ればせながら世の中にこういう仕事が一個ぐらいあってもいいじゃないかと思うようになってきた次第です。自分の仕事に対するある種の矜持、とでもいうのかな。そういうものが心の奥に育ってきた。