フランクル『夜と霧』

ようやくフランクルの『夜と霧』を読んだ。

知らない方もいると思うので一応概要を書いておくと、これは一人の心理学者(医師)によるナチス強制収容所の体験記である。そしてそこから醸成された人間心理に対する一大省察によって全章が結ばれている。

ちなみに『夜と霧』というタイトルは日本の翻訳者の手によるもので(なんという名訳‥)、原題は『強制収容所における一心理学者の体験』というものだそう。

最近では東日本大震災の折に被災された地域の方々にも多く読まれたらしい。生死の際から奇跡的に生還した人の体験記録が、静かでありながらも力強いこころの灯になったのかもしれない。

当然ながらかなり深刻な内容だが「高校生の時に読んだ」なんていう方も結構な割合でいるみたいで、40過ぎてから手にした自分に向かって「今さらですか‥」と思ったりなんだり‥。

まあとにかく、人間の心理、というか「人」に直接たずさわる職業についている人ならば、できるだけ早い段階で読んだ方がいいなと思った。

何しろ人類史上最悪級と言われる境遇の中で、「普通の人々」がどのように変貌し、いかに振舞ったかという貴重な体験記録なのだ。

本書にちなんでいろんなことが書けそうだが、何よりもまだ読んだことがない方には是非読んでください、と言いたい。

読みながら終始いろんなことを考えたので、所感についてはまた改めて書いてみようと思う。ひとまず今日はここまでで。