活元運動は生命の根源的統一へ向かう動き:不変を以って万変に応ず

そこで、活元運動をやっていると、体全体の運動が統一されます。もちろん胃袋は筋肉の運動によって左右できるのだから、体全部の運動系とみな関連があるのですから、活元運動をやっていれば、自然に(胃の)酸が調節されていきます。

酸の多少にかぎらず、胃袋が下がっているのは上がってくるし、ふくれているのは縮むし、潰瘍もなくなっていきます。(野口晴哉著『健康生活の原理ー活元運動のすすめー』全生社 pp.145-146 改行は引用者)

活元運動は特定の病気に対する治療法ではなく、全身のバランスを取り戻す方法として行うものです。

病気が治るのはあくまで副次的効果であって、それは全身のはたらきが「ある一つ」の目的に統一された結果として得られる当然の結果といえます。

本来は全心身の協調性の回復こそが活元運動の目的です。

胃酸過多、胃潰瘍、あるいは胃下垂などなど胃袋だけに着目してもさまざまな名前の「病気」がありますが、その一つ一つの「動き」に病名をつけて治療手段を講じ、施していくとなるとその方法は今後も増加の一途となり幾多になるかわかりません。

これとは逆に、人間が生きている「はたらき」という漠たる一点に目を着けて、その無形の力の発奮だけに注力すれば道は容易に体得されるでしょう。

人間に始めに備わっている、「変わらないもの」をよりしろとして、千変万化する現実に自在に対応していけるのです。これまでの人間の歴史がそれを証明しています。

限られた時の中で、「人間」あるいは「生命」というものの根本を掴みきることが整体の目的です。ただし掴んだら掴みっぱなしではなく忘れてしまうこと。最後は元へ還ることがとても大切です。