『風邪の効用』までだいたい3年くらい

息子が風邪をひいた。だいたい一ヵ月ぶりくらいだろうか。「野口整体」といえば『風邪の効用』だが、今から11年前に自分が整体生活をはじめた頃は風邪を引くたびにこの『風邪の効用』を読んでいた。そうやっては逐一症状の経過を楽しんでいたのを思い出す。

一言でいえば「風邪は身体の自然良能」ということで、風邪をひいて熱がでると、その体温の変化によって身心がゆるむ。それによって、自身の潜在体力が煥発され自然に元気になるという話だ。だから咳をしても熱が出ても静かに経過を見守るような方法を取るのである。

ところがそこから拡大解釈が生じて、「風邪はいくらでも引けばいいのか」と思われることもあるが、そこはちょっと慎重に考えたい。

たしかに本を読めば風邪を上手に経過させる方法は沢山紹介されている。ところが発症してから手を打つようではちょっと遅いのだ。本来は常に身心の平衡が保たれていて、風邪が要らないような生活者であることが最善である。

簡単に言えば「心・体」の両方にしこりがなくていつでも柔らかい状態を目指したい。それには平素における身体感覚の練磨が要求される。整体は「身体の感受性を高度にする」ことが真の目標なのだ。

もう一つ、子供は大人よりも体力があり丈夫だ、・・けれどもそれでいて脆い。風邪の経過でも処置を誤ると、本当に命が危険にさらされる。そういう観点から、安易に「野口整体のやり方で・・」とやろうとすると、無自覚なリスクにさらされることがある。これは誰しもやってみると追々わかる・・。

病症経過を的確に促すには、「身体が読める」ということが大前提で、何事も生兵法はこわいものだ。整体という生き方を実現するには、まず頭の理解に3年、身体ができるのにも、(個人指導や活元運動を続けながら)どんなに早くても3年くらいは見積もった方がいいだろう。

努力してやっとできるようになる、というよりも好きなら自然と続くものだ。好きこそものの上手なれで、やってみたい人はやっぱり先ずは本から入るのがやさしい。何回読んでも記憶から内容が漏れていたり、実体験に照らし合わせてみて「ああそうか」とようやく解ることも出てくる。

ともかく風邪を一度もひかずに死ぬ人などまずいないのだから、誰の手元にも1冊置きたい珍書であり、良書だと思うのだ。実は好みの問題が大きいのだが、一読して損はない一冊だろう。