木に学べ

宮大工の西岡常一さんの話を一冊の本にした『木に学べ』(小学館)。伝統の職人による木と日本古来の建築、そしてそれにまつわる周辺のお話で、現代文明の在り方を当然と思って生活する我々に内省を促す内容だ。 全編どこを切っても含蓄の深い話ばかりである。その中でもわたしが最も気になったのは下の引用部。 自然の木と、人間に植えられて、だいじに育てられた木では、当然ですが違うんでっせ。 自然に育った木ゆうのは強い …

事故

家から三本前の辻は車道になっている。どういうわけかこの道はしょっちゅう事故が起こる。 ちゃんと数えたわけではないけれど、だいたい1、2か月に一回は車かバイクが事故を起こして傍らにパトカーが止まっているのを目撃するのだ。 今朝もあったのだが車と原付が接触したらしく、どういうわけか車の方が横転していた。 俗に「魔の交差点」とか「魔の時間帯」という言葉もあるように、事故が起こるには起こりやすい環境や条件 …

尋常小学校

子どもが6さいになり、4月から小学生になる。 そんなタイミングで夜眠る前か朝起きたときに小学館から出ている尋常小学校の文庫本を一緒にポソポソ読みはじめた。 内容としては戦前まであった修身という授業に使われた教科書がベースになっている。 人間の生き方や道徳にまつわる話の短編集で、日本史上の偉人だけでなく外国の人物まで例に挙げて、人間の徳行というものを文字で学ばせるのだ。 こうして書いていくと「そもそ …

治癒までの距離

結婚する前の妻と単発の気功セミナーに行ったときのエピソード。 その時の50代とおぼしき講師がすこぶる行動的な人だった。若い時分から勉強のために台湾にも行くし、インドにも行く。そして話が興に乗って来たあたりで「今年アメリカで開催されるヒーリングセミナーにみんなで行きましょう!」と言い始め、参加者一同閉口したところでお開きとなった。 どうも話を伺っていると、成育歴から何からいろいろあった方で一筋縄では …

裡なる感覚

ニューズウィーク日本版に掲載された大江千里氏のコロナワクチン体験記を読んだ。なかなか興味深い。 ニューヨーク在住の同氏がワクチンを打った後の反応について時系列で細かに綴ってある。摂取した晩に重度のアナフィラキシーショックで苦しんだが、免疫抗体がなくなる3ヶ月後には「もう一度受ける」と結んでいる。「科学を信じる」からだそうだ。 人物としての大江さんは昔から好きだが、科学に対するこのような態度は科学的 …

個人の健康

「集団免疫」という言葉を最近よく耳にするようになった。 わかっているようで曖昧な語句なので調べてみたところ、どうもこれは「社会」とか「国民」みたいな言葉と同じで、概念だけがあって実体はないようである。 社会学者や経済学者が便宜で用いる観念語で、医学的には定義がシッカリとは確立していないのかもしれない。 おおよその意味としたら、特定の病気に対する抵抗力を具えた人の割合が一定に達っした状態を指している …

「科学的」であるために

息子(6歳)が保育園で友達とケンカしたという。6歳児ならケンカぐらい毎日するだろうと思ったが、問題の焦点は石鹸で手を洗うべきか否かだったそうで、これでは先生も報告せざるを得ない。 息子が「ばい菌はちょっと残しといたほうが(体のバランスとして)いいから石鹸は使わない」というのに対して、相手のAクン(仮)は「ばい菌はキタナイから石鹸でしっかり洗い落とさなければならない」と言う。 そのままお互い譲らずワ …

相変わらず

新年最初のネタを考えながら窓の外を眺めたら、今日は春一番を思わせる強風に、突き抜けるような快晴だった。 ふいに「青天白日」という『碧巌録』第四則の冒頭が頭に浮かんだ。 『碧巌録』は禅の愛好者なら誰もが知る宋代中国禅の指南書である。青天白日とは雲一つない青空のような禅の世界を表す一語だ。 人間の感覚を取り除けば、元々この世界には西もなければ東もない。加えて天地もなければ、過去も未来もない。どこにもと …

二元対立を超えた活動

…前回のナウシカの記事からの続き。 分解や分析によって自然界の法則を明らかにして、人間に有益な文明を作り出そうというのが今日まで科学を発展させてきた大きな動機であった。 しかし部分の解釈にこだわりすぎると全体が見えづらくなる、というのが分析知につきまとう最大の陥穽である。 我々の理性はどうしても物事を是非、善悪、優劣…といった具合に、二つに分けて理解しようとする習性がある。「分かる」とはまさに「あ …

ナウシカの目的論的自然観

人間によって汚染された地球を如何にすべきか、というテーマはSFではお馴染みである。 ナウシカの舞台における汚染の象徴は「腐海」であり、この腐海に如何に対処して生きるか、というのが作品全体を包み込む大きな難題である。 腐海の植物は1日の中のある決まった時間に一斉に胞子を飛ばす。この胞子には強い毒性があり、腐海に立ち行った人間は特殊なマスクをしなければ五分で肺が腐ってしまうという。 腐海が生まれてより …